少し位置が違う、順番が違う。そのたびに直してと言われると、ヘルパーも緊張しますよね。本人が大切にしていることを確かめ、次の担当者にも伝わる手順へつなげます。

この記事で確かめたいこと
- 「こだわりが強い」で終わらず、何にどんな希望があるかを確認する。
- いつもの方法を変える時は、先に伝え、必要な判断を事業所へ相談する。
- やり直しや時間不足は、本人の希望と職員の困りごとを一緒に共有する。
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「そのタオルは、そこじゃない」「先にこっちをしてください」。いつも通りに支援したつもりなのに、何度も直してと言われる。初めて入る家では、どこまで確認したらよいか分からなくなることもありますよね。
居宅介護・重度訪問介護で出会う、物の位置や手順、声かけへの細かな希望。この記事では、それを「わがままかどうか」と判定するのではなく、本人が大切にしていることを確かめ、支援の方法として共有する流れを考えます。
会話や記録は説明用の例です。本人から確認できていない理由や気持ちを、事実として書くことは避けます。
「こだわりが強い」だけでは、次の支援に使えない
申し送りに「こだわりが強い方」と書いてある。それだけでは、訪問する側は身構えるばかりで、具体的にどう動けばよいか分かりません。
物の置き場所、家事の順番、服のたたみ方、調理の切り方や味付け、買う商品の種類。自宅での暮らし方には、その人なりのやり方があります。置き場所が変わると自分で取り出せないなど、実用上の理由があるかもしれません。使い慣れていることや、次に何をするか分かることが安心につながる場合もあります。
ただ、「安心のため」とこちらで理由を決めてしまうことにも気をつけたいです。本人がそう話したのか、家族や前任者から聞いたのか、ヘルパーの推測なのか。この違いは残しておきます。
「何に、どんな希望があるか」まで分かると、支援の準備ができます。 「細かい方」より、「食器は右側の棚の下段へ戻す。本人が自分で取り出すため、と本人から説明あり」の方が、次の担当者に伝わります。
生活の場面ごとに、本人へ確かめたいこと
同じ質問を次々に重ねると、本人も説明に疲れてしまいます。作業に入る前に、その場面に必要なことを聞きます。本人が話しやすい時間や伝え方も、同行時に確かめておくとよいです。
| 場面 | 聞き方の例 | 共有したいこと |
|---|---|---|
| 掃除・片づけ | 「先にする場所はありますか」「戻す場所を教えてください」 | 順番、物の位置、動かす前の確認。 |
| 調理・洗濯 | 「切り方やたたみ方で、いつもの方法はありますか」 | 本人の希望と、安全・計画上確認する内容。 |
| 買い物 | 「いつもの商品がない時は、どうしましょうか」 | 商品、代替の可否、購入前の連絡方法。 |
| 外出準備 | 「準備の順番を確認してもいいですか」 | 順番、必要な物、時間の見通し。 |
| 声かけ | 「始める前に声をかける方がよいですか」 | 伝えるタイミング、本人の返答の待ち方。 |
理由を聞く時も、「なぜそんなことをするんですか」と問い詰める形にならないようにします。「次の担当者にも同じようにできるよう伝えたいので、気をつけるところを教えてください」と、何のために聞くかを添える方法があります。
本人が理由を説明できない時でも、生活上の希望をすぐ無効にする必要はありません。確認できた希望を残し、対応に迷う部分を事業所と相談します。反対に、理由を説明してもらえたからといって、安全や支援範囲の確認が不要になるわけでもありません。
注意された時は、何が違ったかを一つずつ確認する
「違う」と言われると、慌てて全部やり直したくなることがあります。でも、どこが違うか分からないまま手を動かすと、さらに別の物を動かしてしまうかもしれません。
まず安全に止められるところで作業を止め、「位置ですか、向きですか」「先にこちらをする、ということですか」と確認します。選択肢で聞く場合も、本人が選びにくい時は別の伝え方に変えます。答えを急がせないことも大切です。
本人:「そこには置かないで」
ヘルパー:「置く場所を確認せず動かしてしまいました。元の場所を教えていただけますか。戻してから、次を確認します」
自分が確認せず変えたことが分かっているなら、その点を認めて直します。何も分からないのに、本人の性格や障害のせいにして説明を終えないようにしたいです。
声が大きくなるなどして会話が難しい時は、説明を重ねて納得させようとせず、状況に応じて距離や時間を取り、事業所へ連絡します。本人の希望を理解することと、職員が威圧や危険を我慢することは別です。危険が迫っている時は、安全確保を先にします。
「わがままか、こだわりか」の二択で対応を決めない
その場の希望が変わったり、理由が分からなかったりしても、それだけで「わがまま」と決めることはできません。反対に、「こだわりだから」という言葉だけで、どんな依頼でも引き受ける必要はありません。
見たいのは、依頼の内容、本人が望むこと、実際の支援への影響です。安全に実施できるか、現在の支援内容で扱えるか、必要な時間や職員体制はどうかを確認します。
- 確認済みの手順で対応できることは、その手順に沿って進める。
- 本人の希望が変わった時は、理由や状況を聞き、変更の影響を確認する。
- 計画や手順を変える必要がある時は、事業所へ相談する。
- 危険がある時は、合わせ続けず安全を確保して対応を相談する。
「その人がどういう人か」の評価を先にすると、次の担当者も同じ先入観で訪問してしまいます。本人の言葉と、支援中に起きたことを残す方が、対応を考えやすくなります。
急に普段と違う反応が見られた時も、いつものこだわりだと片づけず、体調や環境の変化など、実際に確認できることを事業所へ伝えます。ヘルパーが原因を診断するのではなく、変化を見落とさず共有するためです。
いつもの商品や手順が使えない時は、変更を先に伝える
買い物先で商品が売り切れている。道が工事中で、いつもの経路を使えない。担当者が急に交代する。普段の支援でも、予定どおりにできないことがあります。
変更が分かった段階で、本人に何が変わるかを伝えます。勝手に代わりの商品を買ってから知らせるより、事前に代替の可否や連絡方法を決めておく方が、現場で迷いにくくなります。
いつもの商品がなかったら、同じメーカーの別サイズでよいか。代わりを買わず帰るか。購入前に連絡するか。確認が必要な時、連絡がつかなければどうするか。
写真やメモで確認しやすい場合もありますが、本人の希望と事業所の情報管理のルールに沿って使います。自宅や持ち物を私物のスマートフォンで無断撮影することは避けてください。
変更の説明は、本人が分かる方法と量で伝えます。一度に選択肢をたくさん並べるより、必要な違いを短く説明した方がよい場合もあります。ただし、どの方法が合うかは人によります。「この障害ならこの伝え方」と一律に決めないようにします。
本人が変更を望まない場合は、その意思を受け止めたうえで、実施できない内容と残る支援を事業所へ相談します。時間切れまで説得を続けるのではなく、次の訪問への影響も含めて確認します。
手順書は「いつも通り」の中身と、変更時の連絡先を残す
慣れたヘルパーには分かることでも、新しく入る人には伝わっていない場合があります。「いつもの場所」「よい感じに」で済ませず、必要な部分を具体的に残します。
例えば、物の位置なら棚の段や向き、作業なら開始前の声かけと順番。本人が説明してくれた理由もあれば添えます。細かな情報をただ増やすより、支援で迷いやすいところを先に整理します。
食器は本人が取り出しやすいよう、右側の棚の下段へ戻す。別の場所へ移す前には本人へ確認する。現在の位置で安全に使えないと感じた場合は、その場で配置を変更せず、状況をサ責へ相談する。
「変えてはいけないこと」を固定するだけの手順書にはしません。本人の希望や状況は変わることがあります。誰が、いつ、何を確認して更新したかを残し、古い指示と新しい指示が混在しないようにします。
初回同行では、書いてある手順を実際の場面と照らし合わせます。紙を渡して「読んでおいて」だけで独り立ちさせず、本人への聞き方や、予定が変わった時の連絡まで一緒に確かめたいです。支援手順書の作り方と初回同行の確認点で詳しく扱っています。
毎回やり直しになる・時間が足りない時の相談
本人に合わせようとするほど終了時間が延びる。毎回やり直しがあり、次の訪問に間に合わない。こうした状態は、担当者が急いで吸収し続けるのではなく、支援の組み方を見直す話です。
相談では「細かくて大変」だけでなく、どの作業で、どんな確認ややり直しがあり、何が終わらなかったかを伝えます。本人から聞けた希望と、職員が困っている内容を両方残します。
「洗濯物を戻す場所を作業後に確認する流れになり、入れ直しが続いています。開始前の確認を手順に入れたいです。今日終わらなかった支援もあるので、時間配分と次回の対応を確認させてください」
これは一つの例です。実際には、本人と確認する時間が足りないのか、職員の理解がそろっていないのか、計画に無理があるのかなどを分けて見ます。家族と本人で違う方法を求められている場合は、家族対応で希望が違う時の記事も参考にしてください。
事業所へ相談した後は、誰が本人に説明するか、次回の手順は何か、再同行が必要かを確認します。「慣れればできる」で終わり、同じ状況が続くなら、未解決の点を管理者にも伝えます。職員が怖さや負担を強く感じている場合は、同行や担当調整も具体的に相談してよいと思います。
求人・面接では、困った後に教わり直せるかを聞く
支援の仕事を始める人には、「手順書はありますか」に加えて、「初回の同行後、分からないことが出た時はどう教えてもらえますか」と聞いてほしいです。
手順書の有無だけでは、現場で更新されているかは分かりません。本人の希望が変わった時の共有、職員ごとの対応差を確認する機会、再同行や相談の窓口まで聞くと、働き始めた後を想像できます。
- 「本人の希望するやり方を、初回同行でどのように確認しますか」
- 「支援中に判断に迷ったら、誰に連絡しますか」
- 「手順の変更は、誰が本人と確認し、職員へ共有しますか」
- 「一人訪問が始まった後も、再同行を頼めますか」
詳しい確認項目は障害福祉の求人・面接チェックへ。求人条件と合わせて、こうした教わり方も見てください。
本人の暮らし方を知り、支える側の困りごとも共有する
本人にとって、自宅に他人が入り、物を動かし、生活を手伝うこと自体が大きなことです。本人が大切にしている順番や位置を、効率だけで変えないようにしたいです。
同時に、ヘルパーが迷っていることや、時間・安全の問題も事業所に伝える必要があります。本人の希望を尊重するために、担当者だけが無理を続ける形にはしたくありません。
ご本人やご家族も、「このやり方だと助かる」「ここが変わると困る」を伝えてください。ヘルパーごとに説明が違う時や、希望がうまく伝わらない時は、事業所の責任者と確認できます。
参考資料
確認日:2026年10月9日。本記事の「こだわり」は日常の希望や手順を表す言葉として用いており、診断や医学的な分類を示していません。具体的な対応例は、本人の希望と個別の支援内容に合わせて検討してください。
