掃除をしても、次に訪問すると元通り。僕にも、そんな堂々巡りを経験したことがあります。虫や衛生面の悩みをヘルパーの我慢だけで終わらせず、支援の入り方から見直した経験をお話しします。

この記事で確かめたいこと
- 掃除しても状態を維持できないなら、訪問の間も含めた支援を相談する。
- 本人と共に行う掃除への見直しで、大きく改善した実体験を紹介。
- 衛生面の困りごとを、一人のヘルパーに抱え込ませない。
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利用者宅の虫や衛生面は、ヘルパーの我慢で片づけない
訪問先でゴキブリや小バエを見かけると、虫が苦手な人にはそれだけでもつらいですよね。調理をする場所だったら、「このまま食事を作って大丈夫かな」と、仕事の進め方にも迷うと思います。
僕は、ヘルパーが我慢すればいい、という話ではないと思っています。「もうあのお宅には入りたくない」となるまで抱え込んでしまったら、支援を続けること自体が難しくなるからです。
ただ、利用者さんを責めれば解決する話でもありません。きれいにしたくても維持できない事情があるかもしれない。その場で掃除を頑張るだけでは、どうにもならないこともあります。
この記事では、僕が経験した衛生面の困りごとと、ケアマネジャーに相談して支援を見直した話を紹介します。そのうえで、その日の対応、事業所への伝え方、担当者を一人にしない工夫まで考えていきます。
掃除しても次の訪問には元通り。その堂々巡りを経験しました
週に1〜2回の訪問では、きれいな状態が続かなかった
僕が実際に困ったのは、訪問した日に掃除をしても、次に行くと、ある意味では元通りになっていることでした。週に1回、あるいは2回の訪問で、その都度きれいにしても、次の訪問まで衛生状態を維持できない。ずっと堂々巡りになっていたんです。
この経験で考えさせられたのは、訪問中に掃除ができていることと、暮らしの中で衛生を保てていることは違う、ということでした。訪問を終えた瞬間だけを見れば、やるべきことはやっている。それでも、次に行けば同じ問題があるわけです。
こういうときに「次はもっときれいにしてきて」と担当者へ言うだけでは、訪問と訪問の間に起きていることは変わりません。今の支援の入り方が、その方の生活に合っているのか。そこを見直す必要があると考えました。
ケアマネに相談し、訪問回数と掃除の関わり方を変えた
そこで、ケアマネジャーに相談して訪問回数を増やしました。また、ヘルパーが主体となって掃除をする家事援助から、ご本人と共に掃除を行う身体介護へ、ケアプランを変更してもらいました。
ご本人にも、できるところの掃除や片づけに関わってもらうようになってから、状況は大きく変わりました。僕の実感としては、劇的に良くなったと言える変化でした。 回数を増やすことに加えて、ご本人が掃除や片づけに関わる形へ変えたことが、大きかったんです。
これは「本人にもやらせればいい」という話ではありません。できることや必要な支援を考えて、支援の組み立てを変えた経験です。誰にでも同じ方法が合うとは思いませんが、掃除の量だけを増やす以外にも、見直せることがあると感じています。
支援の組み立てを見直したケース
- 困っていたこと
- 週1〜2回の訪問で掃除をしても、次の訪問まで衛生状態を維持できなかった。
- 見直したこと
- ケアマネジャーに相談し、訪問回数を増やした。ヘルパー主体の掃除から、本人と共に行う掃除へケアプランを変更した。
- その後の変化
- 本人もできる範囲の掃除・片づけに関わるようになり、状況は大きく改善した。
- 職員への配慮
- 一人に抱え込ませず、複数のヘルパーが訪問に入るようにした。
「一緒に掃除をする=必ず身体介護」ではありません
ここは制度の話なので、僕の経験と分けてお伝えします。厚生労働省の通知では、自立支援や重度化防止を目的に、安全を確保し、必要なときに介助できる状態で行う援助が示されています。掃除や整理整頓を、ご本人への手助け・声かけ・見守りをしながら共に行う例もあります。厚生労働省の通知(1-6)
本人に少し手伝ってもらえば、生活援助を身体介護へ変えられる、という意味ではありません。 本人の状態、支援の目的、必要な介助を踏まえ、ケアマネジャーや事業所で検討する話です。訪問中のヘルパーが、その場の判断でサービス区分を変えるものでもありません。
今回の経験から伝えたいのは、制度の区分を変えること自体を目的にするのではなく、「今のやり方で生活が保てているか」「本人が関われる部分はあるか」を相談することです。
支援を変えた、その後。僕が持ち帰ったこと
状況が大きく良くなったことは、今でも印象に残っています。ただ、この経験を「本人と一緒に掃除をすれば解決する」という方法の紹介で終わらせたくはありません。訪問回数も、関わり方も見直しています。何か一つだけの効果として切り分けられる話ではないんです。
訪問したときにきれいにする。その仕事は大事です。でも、次の訪問まで暮らしがどう続いているかを見ると、別の課題が見えてきます。担当者の頑張りが足りないと考える前に、今の支援の組み方で無理が出ていないか。僕はそこを相談したいと思っています。
また、変化を伝えるときには、本人が関われたことと、ヘルパー側で支えたことの両方を残しておきたいです。本人の努力だけの話にもしないし、支援者だけの手柄にもしない。生活が続く形を一緒に探した経験として伝えたいんです。
自分の現場へ持ち帰るなら
ここからは、この経験をもとにした相談の提案です。当時の記録や会議の再現ではありません。まず、繰り返し起きていることを一つ書く。次に、本人の希望、担当者が困っていること、今の支援でできていることを分ける。そのうえで、誰と何を相談するかを決めていくと、話を始めやすくなると思います。
印刷して使う「支援を見直す相談メモ」を用意しました。答えを埋めるためのチェック表ではなく、まだ分からないことも含めて、相談に持っていくための紙です。
虫が出たその日、まず何を確かめるか
支援を見直す話と、今日の訪問をどうするかは、分けて考える必要があります。ケアプランの相談をしている途中でも、その日の調理や介助をどう進めるかは決めなくてはいけません。
まず見たいのは、虫の数だけでなく、どこで見かけ、予定していた支援にどんな影響が出ているかです。種類が分からなければ、無理に名前をつけなくて構いません。見た目だけで、感染症や健康被害の有無まで判断することもできません。
調理を始めようとしたとき
食品の近くや調理台で虫を見かけたら、何を使って調理する予定だったのか、どこで見たのかを整理します。安全に進められるか判断できない作業は、始める前に事業所へ連絡してください。「虫がいるけれど、とりあえず作ってしまおう」と急がなくて大丈夫です。
このとき、食品を勝手に捨てたり、本人に確認せず別の食材を使ったりせず、今日の食事をどうするかも含めて相談します。調理を止めたまま連絡だけして終わりにせず、必要な食事の支援をどうつなぐかまで確認したいところです。
掃除中や、移動・介助の途中に出てきたとき
突然出てくると、反射的に避けたくなりますよね。ただ、利用者さんを支えている途中なら、急に手を離すことが別の危険につながります。目の前の介助の安全を確保してから、困っている作業を相談します。緊急の危険がある場合は、事業所の緊急時の手順に沿って対応してください。
掃除中なら、気になる場所を全部片づけようとして、家具を動かしたり、予定外の場所まで作業を広げたりしないことも大事です。残り時間や、ほかに必要な支援への影響を伝えましょう。
バッグや衣類に付いて帰らないか気になるとき
「帰宅後も気になってしまう」という不安も、相談して構いません。実際に付着を確認したのか、付くのではないかと心配なのかを分けて伝え、持ち物の置き場所や扱いを事業所で相談します。個人の判断で、利用者さんの物や自分の衣類に薬剤をかけて解決しようとしないでください。
「このまま進めてよいか、確認させてください」
「食品の近くに虫が見えたので、今日の調理をどう進めるか事業所に確認しますね。今ある物は、勝手に捨てずに置いておきます」
本人を驚かせたり責めたりする言い方を避け、何を確認するのかを伝えます。利用者さんを責めずに、困っていることを話す
衛生面の話は、その人の生活に踏み込む話でもあります。「どうして片づけないんですか」「このままでは汚いですよ」と言われたら、相談する気持ちになれないかもしれません。
僕なら、まず「ここで調理を進めることに困っている」「次の訪問まで状態を保つ方法を相談したい」と、支援に関係する具体的な話から始めます。家全体を評価するような言い方にしないほうが、何を話し合うのかが伝わると思います。
片づけたくても動けないのか、物の置き場所が使いにくいのか、そもそも本人は困っていないのか。理由は、見ただけでは分かりません。「きっとこういう病気だから」「性格の問題だ」と決めつけず、ご本人の受け止め方を聞きたいですね。
掃除や処分を望まないとき
こちらには不要に見える物でも、本人には大切な物かもしれません。片づけに同意していることと、処分に同意していることも別です。「この辺をきれいにしておきますね」という一言で、何でも捨ててよいことにはなりません。
同意が得られない場合は、その場で説得を押し切るより、何を望まず、何なら相談できそうなのかを事業所へ共有します。たとえば、物の処分は望まなくても、通る場所や調理する場所についてなら話し合えるかもしれません。これは検討の例であり、本人の了承なしに進めるための方法ではありません。
本人の意思を大切にすることと、職員が困っている状態を黙って引き受けることは、同じではありません。合意できない点が残るなら、事業所やケアマネジャーも一緒に、支援を続けられる方法を考える必要があります。
報告は「事実・影響・対応・確認」に分ける
「虫が出て嫌でした」という気持ちも、大切な情報です。ただ、その言葉だけでは、連絡を受けた人が何を調整すればよいか分からないことがあります。気持ちを消すのではなく、気持ちと、現場で起きたことを両方伝えると考えてみてください。
調理前、食品の近くで虫を見かけた場合
- 見た事実
- 台所の食品容器の近くで、小さな虫を複数確認。種類は不明。
- 支援への影響
- 予定していた食品を使って、調理を始めてよいか判断できない。
- その場の対応
- 本人に確認する旨を伝え、調理開始前に連絡。食品の処分や薬剤の使用はしていない。
- 確認したいこと
- 今日の食事の支援をどう進めるか。誰が本人と相談し、次の担当者へ何を伝えるか。
繰り返す問題は、「掃除をした」より、その前後を残す
今回お伝えした僕の経験のように、次の訪問には状態が戻ってしまう場合は、その経過が相談の材料になります。「掃除実施」だけでは、訪問中に何をしたかは分かっても、今の支援で足りているかまでは見えません。
訪問時にどうなっていたか、計画に沿ってどこを掃除したか、終わった時点で何が残ったか、次の訪問ではどうだったか。記録をつなげて見ることで、「同じ困りごとが続いている」と具体的に話しやすくなります。推測した原因を、事実のように書く必要はありません。
写真があれば便利と思っても、個人のスマホで勝手に撮影し、私的な連絡先へ送ることは避けてください。必要性や本人への説明、保存・共有の方法を事業所で確認します。文章だけで伝えられることもあります。
ケアマネには、訪問の間に保てないことまで相談する
「きれいにしてください」と頼まれ、訪問中はきれいにしている。それでも続かないなら、相談したいのは掃除の出来栄えだけではありません。訪問がない時間も含めた暮らしを、今の支援で支えられているかです。
僕のケースでは訪問回数と支援内容を見直しましたが、同じように回数を増やせば、どのお宅でも解決するわけではありません。本人が何に困り、どう暮らしたいのか、ほかの支援との関係や費用も含めて相談する必要があります。ヘルパーから「来週から増やせます」と約束する話ではないですね。
相談の前には、次の点を整理すると話を進めやすいと思います。
- どの場所で、どんな状態が繰り返されているか。
- 現在の訪問で行っていることと、対応しきれないこと。
- 本人が困っていること、手伝ってほしいこと。
- 本人ができていることと、支援があれば関われそうなこと。
- 職員が困っている作業と、続けるうえでの負担。
「本人ができるところ」を考えるときも、仕事を割り振るような発想にはしたくありません。体調や疲れ、その日の気持ちによって、できることは変わります。何をどの程度一緒に行うか、どんな見守りが必要かを、計画と本人の状態に合わせて確かめます。
見直した後も、掃除の結果だけで評価しない
支援を変えたら、次は変化を確かめる段階です。前より衛生を保てるようになったか、本人に無理が出ていないか、職員の困りごとはどうか。部屋がきれいになっていても、本人が疲れ切っていたり、担当者だけが時間を超えて頑張っていたりするなら、別の相談が必要です。
うまくいった点も共有したいですね。「この関わり方なら本人が参加できた」といった情報は、次の担当者の助けになります。反対に変化が乏しいときは、頑張りが足りないと結論づけず、実際に何が続けにくかったのかを持ち寄って見直します。
一人のヘルパーに「あなたなら大丈夫」と背負わせない
衛生面の問題が続くお宅を、いつも同じ人が担当している。ほかの人は詳しい状態を知らず、本人も言い出しにくい。こうした状態にはしたくありません。
僕自身、一人で抱え込ませないように、複数のヘルパーが訪問に入るよう配慮しました。虫への苦手意識には個人差がありますし、平気そうに見える人にも、負担がないとは限らないからです。
複数の人が入るときにも、担当を分けるだけで終わりにはできません。新しく入る人に必要な状況を伝えず、「行けば分かる」と任せてしまえば、その人がまた同じことに困ります。
誰が入っても、予定する支援、本人と確認できていること、困った場合の連絡先が分かるようにする。担当が変わることについても本人へ説明し、受け止め方を確認する。こうした準備と合わせて考えたいところです。
また、「あの人は我慢できた」「前の人は何も言わなかった」という比較は避けたいですね。報告しなかった理由は分かりませんし、別の日には状態が違う可能性もあります。まずは今回の報告を受け止めて、その職員が続けられる条件を一緒に考えます。
掃除や駆除を、現場の善意だけで引き受けない
気になるところを一度全部きれいにしたい。その気持ちは分かります。でも、薬剤を使う、食品を処分する、大きな家具を動かす、予定外の大掃除をする、といった対応を、訪問した人だけで決めてしまうのは避けたいところです。
本人の希望だけでなく、製品の使用条件や作業の安全、支援の範囲を確かめる必要があります。掃除の相談と、害虫駆除を誰がどこまで行うかの相談は、分けて扱いましょう。 駆除が必要かどうかも含め、事業所から本人や関係者につなぐ話です。
介護保険の訪問介護には、対応する業務の範囲があります。厚生労働省も、本人の援助や日常生活の援助に該当しない行為などとの違いを案内しています。介護保険サービスと保険外サービスの違い
いつもの掃除の範囲なのか迷うときや、その場で追加の依頼を受けたときは、「ついでにお願い」への返し方も参考にしてください。本人を突き放すためではなく、引き受けられることと、別に調整することをはっきりさせるための確認です。
利用者さん・ご家族にも伝えたいこと
家の中のことでヘルパーから相談があると、「汚いと思われたのかな」「もう来てもらえないのかな」と、不安になるかもしれません。だからこそ、事業所側は、何に困り、何を一緒に考えたいのかを丁寧に伝える必要があると思っています。
もし掃除や片づけで困っているなら、全部きれいにしてからでなくても、担当のケアマネジャーや事業所へ相談してください。「掃除をしてもらった後の状態を保てない」「ここまではできるけれど、ここからが難しい」という伝え方でも大丈夫です。
ご家族も、すべてを引き受けると約束する必要はありません。手伝えること、距離や仕事などの事情で難しいことを含めて伝えてください。家族がいるというだけで、日常的に対応できるとは限りません。
本人が掃除に関われる場合も、負担なく続けられるかを確かめながら進めたいですね。できない日を責めたり、一度できたから毎回できるはずと考えたりしないことも大切だと思います。利用者さん・ご家族向けの相談ガイドも用意しています。
我慢を増やす前に、支援のやり方を見直したい
掃除して、次に行くと元通り。僕も、その堂々巡りを経験しました。でも、ケアマネジャーに相談し、訪問回数と本人への関わり方を変えたことで、大きな変化がありました。
だから、今困っている人にも、「自分の掃除が足りない」「苦手な自分が悪い」と、一人で結論を出さないでほしいんです。今日の支援で困ったことを伝え、次の訪問まで含めて、支え方を相談する。 そこから始めてよいと思います。
連絡した後は、誰が本人と相談するか、次の担当者へ何を伝えるか、いつ対応を確かめ直すかまで決めておくと、話を置き去りにしにくくなります。ヘルパーも利用者さんも、同じ不安を抱えたまま次の訪問を迎えなくて済むようにしたいですね。
相談を繰り返しても一人で対応する状態が変わらないなら、職場の相談体制そのものを振り返る視点もあります。事業所選びで確認したいことでは、困ったときの連絡や支援体制についても扱っています。
この記事の経験・説明と参考資料
訪問回数、ケアプラン、担当体制を見直した部分は、はる自身の経験です。会話や報告の例は、説明のために作成したもので、当時の発言や記録の再現ではありません。害虫の種類の判定、駆除方法、健康被害の診断は扱っていません。
資料確認:2026年10月9日。個別の支援やサービス区分は、本人の状況と計画に沿ってケアマネジャー・事業所に確認してください。
