利用者さんのことは気になる。でも、この働き方はもうつらい。その気持ちを押し込めず、いま減らせる負担と、これからの働き方を分けて考えてみませんか。

この記事で確かめたいこと
- 危険や体調の問題がある時は、退職の結論を待たず安全と相談を優先。
- 担当変更・同行・勤務調整を、具体的に相談してよい。
- 記録や改善案がまとまっていなくても、外部の相談先を使える。
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辞めるかどうかより、まず今の安全を確かめる
「訪問の前になると気が重い」「次のシフトを見るのもつらい」。そんな時に、辞める理由をきれいに説明するのは難しいですよね。僕は、理由がまとまっていなくても、つらいという言葉を事業所に伝えていいと思っています。
この記事は、退職を急がせるためでも、もう少し我慢してもらうためでもありません。今の負担を減らす方法と、働き方を変える時に確認したいことをお話しします。
ただ、暴力や脅しなどで身の危険を感じる場面は、ゆっくり原因を書き出してから対応する話ではありません。安全な場所へ離れ、状況に応じて警察や救急、事業所へ連絡してください。危険が続く場所に一人で戻ることを前提にしないでほしいです。
眠れない、食事が取れない、強い不安などが続き、生活や仕事に影響している場合も、退職を決めるまで受診や相談を待つ必要はありません。医療機関や、厚生労働省の「こころの耳」の相談窓口を頼れます。この記事の項目にいくつ当てはまるかで、体調を判断しないでください。
辞めたい理由は、いくつも重なっていていい
利用者さんとの関係は嫌ではない。でも、移動が詰まっていて、事業所に相談しても変わらない。給料も安定しない。こういう時に、一つだけ原因を選ぶ必要はありません。
少し考える余裕があるなら、「何が変わると負担が減りそうか」を手がかりに分けてみてください。自分の性格に問題があるかを判定するためではなく、相談する内容を見つけるためです。
利用者さんや家族との関わりがつらい
強い言葉を受ける、支援の範囲を超える依頼が続く、勤務時間外も個人の連絡先へ連絡が来る。相手にも不安や事情があるとしても、ヘルパー一人が受け止め続ける形でよいとは思いません。
担当変更、同行、事業所を窓口にする対応、支援の範囲の説明など、組織で調整する余地があります。本人や家族への説明まで、困っている職員に任せないことが必要です。
一人で判断させられるのがつらい
手順が分からない。連絡しても返事がない。前の担当から十分な引き継ぎがない。そういう状態で訪問に入るのは、不安で当然です。
訪問先で一人になることと、判断や責任を一人で背負うことは違います。相談先、連絡がつかなかった時の次の連絡先、支援手順の確認が必要です。技術への不安なら、再同行や実技確認を依頼できます。
体力や生活時間が合わない
移動が続く、入浴介助が重なる、朝夕に勤務が分かれる、休める時間が読めない。支援の時間だけでは見えない負担があります。件数だけでなく、一日の始まりから終わりまでを見てください。
同じ五件でも、近い場所にまとまっている場合と、移動に時間がかかる場合では違います。「件数が少ないから大丈夫」とは決められません。家事や育児、通院など、自分の生活に必要な時間も含めて相談して構いません。
給与や説明に納得できない
表示された時給と実際の収入が違う、キャンセルが続いて勤務が減る、移動や記録の扱いが分からない。生活に直結するので、遠慮せず確かめたいことです。
勤務予定、実際に働いた時間、給与明細、受け取った労働条件の書面を照らし合わせると、どこが不明なのか伝えやすくなります。法律上の扱いに疑問がある時は、後で紹介する外部の相談先も使ってください。
今の負担を減らす選択肢を並べてみる
辞めるか続けるかの二択だけだと、どちらを選んでも苦しく感じることがあります。まずは、今週の負担をどう減らすかと、今後どこで働くかを分けて考えてもいいんです。
| 考えられる対応 | 確認したいこと |
|---|---|
| 休みや勤務の調整 | いつから、どの訪問を減らすか。連絡する相手と調整後の勤務を確かめる |
| 担当変更・同行 | 次回訪問までに対応できるか。本人や家族への説明は誰がするか |
| 相談窓口の変更 | 直接の上司に話せない場合、管理者や法人の窓口、外部へ相談する |
| 職場・働き方の変更 | 希望条件、生活費、入職までの時間、自分が休む時間を考える |
この表は、上から順番に全部試すためのものではありません。危険がある、体調が悪い、話すこと自体が負担になるなら、その状況に合う支援へ先につながってください。
また、休みを取って少し楽になったとしても、それだけで「一時的な疲れだった」と決めつけなくて大丈夫です。戻った時に同じ勤務や関係が続くのかも見ておきたいです。体調の判断は必要に応じて医療者に相談し、職場では何を変えるかを話し合います。
「担当を外す代わりに、もっと遠い訪問が増えた」では、別の負担が増えることもあります。変更したという事実だけで終わらず、働く本人にとって負担が減ったかを確かめるところまで必要です。
相談は「つらいです」から始めていい
事業所へ話す時に、完璧な改善案を用意する必要はありません。「この訪問の前は眠れません」「今の件数では続けられません」。その言葉から聞いてもらっていいです。
少し説明できそうなら、起きていること、仕事への影響、希望する対応を添えると、調整の話に進みやすくなります。以下は相談の言い方の例で、実際の出来事の引用ではありません。
担当の相談:「訪問のたびに強い言葉を受け、次回も一人で入ることが怖いです。次回の訪問前に、同行か担当変更について話したいです」
移動の相談:「前の支援を予定どおり終えても、次の訪問までの移動と記録の時間が足りません。実際の予定を一緒に見て、時間の間隔を調整してもらえますか」
技術の相談:「この介助はまだ一人で安全に行える自信がありません。どこで迷うかを実際に見てもらい、手順を確認したいです」
「検討します」と返ってきたら、誰が検討し、いつ頃までに返事をもらえるかを確認します。次の訪問が迫っているなら、その時点までの対応も必要です。返事が来るまで同じ状態で入り続けることを、当然にしないでください。
直接の上司が問題の相手なら、その人だけに話さなければならないわけではありません。管理者や法人内の別の窓口、外部の相談先を選ぶ方法があります。話す相手を変えることも、自分を守るための対応です。
記録は役立つ。でも、記録がないと相談できないわけではない
いつ、どこで、何があったか。余裕がある範囲で残しておくと、話が具体的になります。忘れてしまうこともあるので、日時だけでもメモしておくと後から振り返れます。
- 起きた日時と、勤務中のどの場面だったか
- 相手の言葉や行動など、実際に見聞きしたこと
- 自分がどう対応し、誰に連絡したか
- 連絡後にどんな返答や調整があったか
- 仕事や体調に、どんな影響が出ているか
自分がつらいと感じたことも書いて構いません。相手の発言と、自分の気持ちを分けておくと伝わりやすいです。たとえば「帰れないように感じた」という気持ちと、実際に出口をふさがれたのか、繰り返し話しかけられたのかは、分けて残します。
業務記録や連絡履歴を扱う時は、利用者さんの個人情報にも配慮してください。相談に必要だからと、関係のない情報まで私物へ大量にコピーするのは避け、必要な範囲や扱い方を相談先へ確認できます。ブログやSNSに相手が分かる形で書くことは、相談とは別です。
そして、証拠をそろえるために危険な場所へ残る必要はありません。記録が不十分でも、分かることから相談してください。うまく説明できないから相談できない、という順番にはしないでほしいです。
相談した後は、実際に何が変わったかを見る
話を聞いてもらえたことと、勤務が変わったことは別です。「分かったよ」と言われて安心しても、次のシフトが同じなら負担は残ります。約束した対応がどうなったか、確認してみてください。
同行すると言っていた人は決まったか。本人や家族へ支援の範囲を説明したか。勤務間隔は調整されたか。急ぎの相談への連絡先が共有されたか。自分が困っていた点に対して、具体的な変化があるかを見ます。
調整後もつらさが残ることはあります。担当を変えたのに疲れが抜けないなら、原因がそれ一つではなかったのかもしれません。そこで「せっかく変えてもらったから、もう言えない」と抱え込む必要はありません。今の状態を改めて伝えてください。
逆に、改善の見通しを何度聞いても具体的な返事がない、相談したことで不利益な扱いを受けていると感じる場合は、内部だけで解決しようとしなくてよいです。誰に何を伝え、どう返ってきたかを外部へ相談できます。
待てる期間は、体調や安全、生活の状況によって違います。「最低何か月は我慢する」と一律に決めるものではありません。次の訪問にも不安がある時は、長期の改善計画とは別に、直近の勤務への対応を求めていいです。
事業所の外に相談する時の窓口
給料や勤務時間、ハラスメント、退職をめぐる困りごとなど、職場の中だけでは聞きにくいこともあります。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、労働問題を幅広く相談できます。内容に応じた窓口の案内も受けられます。
相談する前に、法律の名前を調べ切る必要はありません。「この時間が給与に入っていない」「退職についてこう言われた」のように、実際の状況から話して大丈夫です。雇用契約や勤務記録など、何を準備すればよいかも窓口へ確認してください。
心身のつらさについては、医療機関のほか、こころの耳の相談窓口案内から、電話・SNS・メールなどの相談方法を確認できます。受付時間や相談できる内容は、それぞれの案内を見て選びましょう。
労働条件の相談と、体調の相談は両方して構いません。職場の調整が進むまで、心身の相談を待たなくてもよいです。「どこに話せばいいか分からない」ところから、利用できる窓口を探してみてください。
次の職場を探すなら、今の困りごとを質問に変える
別の職場を考える余裕が出てきたら、今の職場でつらかった点を、次の面接の確認事項に変えてみてください。転職すること自体で、すべて解決するとは限らないので、同じ負担を抱えないための準備です。
相談が届かなかったなら、「支援中に困った時の連絡先と、不在時の対応を教えてください」。移動が詰まっていたなら、「一日の勤務例と、移動・記録の時間の扱いを見せてもらえますか」。教育が足りなかったなら、「一人で入る前に、どのような確認をしますか」と聞けます。
条件は、絶対に外せないものと、相談できるものを分けておくと伝えやすいです。たとえば、勤務できる曜日、最終の終了時刻、移動できる範囲、必要な月の収入です。相手に合わせて全部「大丈夫です」と答えると、また無理が重なりかねません。
求人サービスは情報を集める方法の一つです。直接応募や公的な職業紹介も含めて選べます。紹介を受けた場合も、希望と違う条件なら確認し、納得できなければ見送って構いません。今すぐ応募する気力がなければ、先に休むことを優先してよいと思います。
面接で使える質問は、訪問介護の求人の選び方にまとめています。必要になった時に使ってください。
利用者さんが心配で、離れにくい時
「自分が辞めたら、この方はどうなるんだろう」。訪問の仕事をしていると、ここが一番引っかかる方もいると思います。長く関わってきた相手なら、なおさらです。
でも、その心配を理由に、一人がいつまでも無理を続ける形にはしたくありません。担当の調整、後任への引き継ぎ、必要な関係者への連絡を進めるのは事業所の役割です。あなたが代わりの人を見つけなければ話ができない、ということではありません。
引き継ぎができる状態なら、本人が大切にしていること、伝わりやすい声かけ、支援の手順、未解決の相談を、決められた方法で残すことができます。体調が悪い時は、どこまで対応できるかも事業所へ伝えてください。
本人や家族への説明も、まず事業所と役割を確認しましょう。個人の連絡先を残して「辞めた後も何かあれば連絡してください」と引き受けると、区切りがつかなくなることがあります。次の相談先を事業所から伝えてもらう方が、支援をつなぎやすいです。
退職の時期や手続きで話がまとまらない場合は、契約内容や個別の事情も関わるため、外部の労働相談へ確認してください。このブログだけで、あなたの退職日や法的な結論を決めることはできません。
いま決められなくても、負担を減らす相談はできる
続けるか辞めるか、今すぐ一つの答えが出なくても構いません。「次の訪問は一人では難しい」「今週のシフトを相談したい」と、目の前の負担について話すことはできます。
ヘルパーが安心して相談できることは、利用者さんの支援を続けるうえでも大事です。無理をしている人が黙ったまま入り続けるより、困っていることを共有し、支える体制を見直したい。僕は事業所を運営する立場として、そう考えています。
相談窓口の確認日:2026年10月9日。窓口ごとの受付時間や利用方法は、リンク先の最新情報をご確認ください。
