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現場の悩み

訪問介護がしんどいあなたへ|利用者を思う気持ちで、自分を後回しにしない

利用者さんが困るから。みんな忙しいから。そう考えて、今日も言わずに訪問した。支援を続けたい気持ちがある人ほど、と言い切るつもりはありません。でも、自分のつらさを後回しにしているなら、そのことも話してよいと思います。

訪問介護がしんどいあなたへ|利用者を思う気持ちで、自分を後回しにしないを題材にしたイラスト
イラストは内容を伝えるためのイメージです。
先に、ここだけ

この記事で確かめたいこと

  • 説明がまとまるまで、連絡を待つ必要はない。
  • 安全・体調・次の勤務を先に相談する。
  • 支援の継続を、担当者一人の責任にしない。
読みたいところから開く
  1. 訪問介護は“一人で行く仕事”だけど、“一人で抱える仕事”ではない
  2. しんどさの背景を、性格だけで決めない
  3. すぐ変えられない時こそ、事業所が引き受けること
  4. しんどさの原因を分けて考える
  5. 「つらいです」から始めて、必要なことを一緒に確認する
  6. それでも続けてよかったと思う瞬間はある
  7. 参考資料・制度の確認先

訪問介護は“一人で行く仕事”だけど、“一人で抱える仕事”ではない

訪問介護の大きな特徴は、ヘルパーが一人で利用者さんの自宅に入ることです。

施設であれば、近くに同僚がいます。何かあれば、その場で相談できることも多いです。 でも訪問介護では、玄関を開けて中に入った瞬間、その場にいる専門職は自分だけです。

利用者さんの体調がいつもと違う。家族から予定にないことを頼まれる。本人が不穏になっている。 計画にない支援を求められる。

そんな場面でも、ヘルパーはその場で判断しなければいけません。

もちろん、サービス提供責任者や管理者に相談することはできます。 ただ、現実にはすぐ電話がつながらないこともあります。 移動中だったり、別件対応中だったり、事業所自体が忙しすぎたりする。

その結果、ヘルパーは 「とりあえず自分で何とかしなきゃ」 という状態になりやすいです。

これは、かなり重いです。

一人訪問は、自由に見える反面、責任が一人に集中しやすい働き方です。 だからこそ、事業所側のフォロー体制、同行支援、緊急時の相談体制が必要になります。

それがないまま「現場で何とかして」と言われれば、負担が集中してしまいます。

図解:支える人の暮らしも、守りたい(タップで拡大)

しんどさの背景を、性格だけで決めない

訪問介護でしんどくなる原因は、一つではありません。

負担として確認したいことを、三つ挙げます。

1. 孤独と責任が集中しやすい

訪問介護は、基本的に一対一の支援です。 その場で起きたことを、まず受け止めるのはヘルパーです。

急な体調変化。転倒リスク。服薬の確認。予定外の依頼。利用者さんの不穏。 家族からの強い言葉。

こうした場面が重なると、ヘルパーは 「全部自分が背負っている」 ような感覚になります。

でも本来、訪問介護はチームで支える仕事です。 現場に一人で行くからといって、責任まで一人で抱え込ませていいわけではありません。

2. 移動時間や待機、過密スケジュールで削られる

訪問介護のしんどさは、サービス中だけではありません。

移動時間、待機時間、記録、急な変更、キャンセル、次の訪問への焦り。 こうしたものが積み重なると、休む時間がどんどん削られていきます。

しかも、移動時間や待機が十分に評価されていなかったり、賃金に反映されにくかったりすると、 心の中に不満がたまっていきます。

「こんなに動いているのに、なぜ報われないんだろう」

そう感じるのは自然なことです。

3. 暴言や業務外要求が続くと、心が削られる

利用者さんや家族との関係が難しいケースもあります。

強い口調で言われる。毎回のように予定外のことを頼まれる。 断ると空気が悪くなる。事業所に報告しても「うまくやって」と返される。

こうなると、ヘルパーは逃げ場を失います。

もちろん、利用者さんや家族にも不安や事情があります。 ただし、それとヘルパーが傷つき続けていいかは別の話です。

暴言や業務外要求が続く状態を、ヘルパー個人の我慢で処理してはいけません。

すぐ変えられない時こそ、事業所が引き受けること

利用者さんの生活が、その依頼に本当に支えられている。急に切れば暮らしが崩れるかもしれない。家族との関係もあり、計画の変更には合意が必要。その難しさは、僕にもあります。

ただ、その事情を説明しただけで、ヘルパーの負担が消えるわけではありません。「しばらくお願い」で終わらせず、次の訪問をどう支えるかを確認したいです。誰が連絡を受けるか、必要なら誰が同行するか、本人や家族への説明を誰が担うか。できる調整と、まだ決まっていないことを分けます。

僕が衛生面で厳しい訪問を経験した時には、一人で抱え込ませず、いろいろなヘルパーが入るよう配慮しました。ケアマネジャーと訪問回数や支援の内容も見直しました。すべてのケースで同じ方法が使えるわけではありませんが、担当者の我慢だけで維持しないことは大事だと感じています。

事業所の事情を知ってほしい気持ちはあります。でも、それを働く人へ背負わせる説明にはしたくない。本人の生活とヘルパーの生活を、両方守るための調整として考えたいです。

しんどさの原因を分けて考える

まず大事なのは、 「何が自分をしんどくしているのか」 を分けて考えることです。

たとえば、次のように分けてみてください。

  • 自分の経験不足や不安からくるしんどさ
  • 利用者さんや家族との相性・関係性からくるしんどさ
  • 事業所の体制不足からくるしんどさ
  • 移動・時間・賃金など働き方からくるしんどさ
  • 暴言・業務外要求・ハラスメントからくるしんどさ

ここを分けないまま全部を 「自分が弱いから」 にしてしまうと、本当の原因が見えなくなります。

経験不足なら、同行や研修で改善できるかもしれません。 利用者さんとの相性なら、担当変更や支援方法の見直しが必要かもしれません。 事業所の体制が原因なら、職場そのものを見直す必要があるかもしれません。

また、「自分は訪問介護に向いていないのかも」と感じている方は、 訪問介護に向いている人・向いていない人 もあわせて確認してみてください。向き不向きは性格だけで決まるものではなく、事業所の支え方や利用者さんとの相性でも大きく変わります。

「つらいです」から始めて、必要なことを一緒に確認する

相談する前に、完璧な記録を作る必要はありません。「明日の訪問がつらいです」「一人で入るのは難しいです」。まずそれだけ伝えてよいです。詳しく話せる時に、いつ、何があり、どのような影響があるかを確認していきます。

メモを残せるなら、起きたことと自分の気持ちを分けて書くと振り返りやすくなります。ただ、気持ちを書いてはいけないという意味ではありません。事業所が動くための説明を、つらい本人だけへ全部求めないことも必要です。

説明用の例なら、「前回、計画外の依頼を断ると強い言葉が続きました。帰宅後も思い出して眠れません。次回は同行か担当調整を相談したいです」。希望がまだ分からなければ、そのまま話して構いません。

危険や強い不調がある時は、勤務の見直しや必要な医療への相談を先に行います。こころの耳、総合労働相談コーナーなど、職場以外の相談先もあります。相談を重ね切ってからでなければ休めない、離れられないということではありません。

事情を分かっているから、言えなくなることもある

人手が足りないことも、代わりを探す難しさも分かっている。だから「自分が無理ですと言ったら、誰が入るんだろう」と考えて、話す前に引っ込めてしまう。説明用の場面ですが、相談のしにくさには、相手の事情が見えるからこその遠慮もあります。

経営する僕から見ても、利用者さんの生活を途切れさせたくない気持ちはあります。依頼を切った瞬間に暮らしが崩れる人もいる。けれど、ヘルパーが入りたくない、もう入れないとなれば、その支援は続きません。現場が黙って耐えている状態を、支援が安定している状態だと受け取らないようにしたいです。

相談する人が、代わりの担当者まで見つけてから話す必要はありません。事業所側が人員や支援の調整を考えるためにも、今どれくらい難しいのかを知る必要があります。言い出した本人を、利用者の生活を壊す人のように扱うのは違うと思います。

利用者さんの困りごとも、置き去りにしない

追加の家事や時間を超える依頼を断ったとして、その先の生活上の困りごとが消えるわけではありません。本人の支援が足りないのか、家族も疲れているのか、これまでの説明が曖昧だったのか。関係者で確認することが残ります。

だからといって、その確認が終わるまでヘルパーの善意で埋め続けてよいとは思いません。僕が「ついでじゃない。普通に追加支援」と感じるのは、時間や手間があるのに、それが見えなくなっている時です。必要な支援なら必要な支援として扱い、誰がどう担うかを考えたいです。

利用者さんの事情を理解することと、自分の負担を伝えることは、一緒にしてよい。 どちらかの味方になるために、もう片方のしんどさを消す必要はありません。すぐ決着がつかない時にも、次の訪問をどう支えるかという具体的な話は進められます。

それでも続けてよかったと思う瞬間はある

ヘルパーから「相談してよかった」と言われた時。辞めずに続けられた理由に、事業所の支えを挙げてもらえた時。僕には、この仕事を続けてよかったと思う瞬間です。

利用者さんから「あなたのところでよかった」と言ってもらえることや、支援が整って生活が安定することも、うれしいです。

ヘルパーの優しさが負担として積み上がるのではなく、支援の力として活きる。そういう形を目指したいです。現場のしんどさも、制度の重さもある。それでも、人の生活が守られる瞬間があるから、僕は続けています。

この話を、いまつらい人に「だから続けよう」と言うためには使いたくありません。休むこと、担当を変えること、別の職場へ移ることも、自分の暮らしを守る選択です。支える仕事をしているあなたも、支えてもらってよいと思います。

参考資料・制度の確認先

資料確認日:2026年10月9日。体調の不調は自己判断せず、必要に応じて専門の相談先を利用してください。本文の相談例は、実在の利用者の事例ではなく説明用です。

案内役・はるのイラスト
この記事の書き手

はる 訪問介護のリアル

福祉の仕事に20年以上

良いところも、しんどいところも。

都内で訪問介護事業所を経営しています。現場で支える側と、相談を受ける側。その両方で感じてきたことを、このブログでお話ししています。

ヘルパーを守りたい。でも、利用者さんの生活も守りたい。簡単に答えが出ないところも、一緒に考えていきます。

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