しんどさ・悩み

訪問介護で移乗介助が怖い人へ|「落としたらどうしよう」と不安になる現場のリアル

移乗介助に不安を感じ、車椅子の近くで慎重な表情を見せる女性ヘルパーのアイキャッチ画像

ベッドから車椅子へ移る、その瞬間。

利用者さんの身体を支えながら、
「もし落としたらどうしよう」
「一人で本当に支えきれるだろうか」

そんな不安が、頭をよぎることがあります。

支える手に力が入りすぎる。
呼吸が浅くなる。
頭の中で、ブレーキ、足の位置、手すり、声かけの順番を何度も確認する。

移乗介助が怖いと感じるヘルパーさんは、少なくありません。

そしてその怖さは、単に技術が足りないから生まれるものではありません。
利用者さんを落としたくない。怪我をさせたくない。安全に支えたい。
そう真剣に考えているからこそ、怖くなるのです。

  • 移乗介助の前になると、身体が固まる
  • 同行ではできたのに、一人になると急に怖くなる
  • 利用者さんの体調や環境によって、毎回不安が変わる
  • 「怖い」と事業所に言いづらく、一人で抱えている

“怖い”は逃げではなく、安全を守るための大切な感覚です。

この記事では、訪問介護で移乗介助が怖くなる場面、不安の本当の理由、怖さを抱えたまま無理に介助へ入る危険性、安全のために確認したいこと、そして事業所へ相談してよい判断を現場目線で整理します。

運営者
運営者

移乗介助の前に、頭の中で何度も手順を確認してしまう。大丈夫かなと思うほど、身体まで固くなる。そんな怖さを抱えるヘルパーさんは、本当に少なくありません。

  1. 移乗介助でヘルパーが「怖い」と感じやすい場面
    1. ① ベッドから車椅子へ移る時
    2. ② 車椅子からトイレへ移る時
    3. ③ 立ち上がりが不安定な方
    4. ④ 足に力が入りにくく、膝折れのリスクがある方
    5. ⑤ 体格差が大きい利用者さん
    6. ⑥ 途中で急に動く方
    7. ⑦ その日の体調で安定感が大きく違う方
  2. 「落としたらどうしよう」と思う時、心も身体も固まる
    1. ① 支える手に力が入りすぎる
    2. ② 手順を頭の中で何度も再生してしまう
    3. ③ 失敗の場面ばかり想像してしまう
    4. ④ 利用者さんに不安が伝わりそうで焦る
    5. ⑤ 同行ではできたのに、一人になると急に怖くなる
  3. 移乗介助が怖いのは、“技術不足”だけではない
    1. ① 転倒・転落が、重大な事故につながる責任の重さ
    2. ② 利用者さんの身体を直接支える緊張
    3. ③ 一人訪問で、すぐ相談できる人がいない
    4. ④ 家庭ごとに環境が違い、毎回同じ条件ではない
    5. ⑤ その日の体調で、安定感が変わる
    6. ⑥ 同じやり方が、毎回通用するとは限らない
    7. ⑦ 自分の腰を痛めるリスクもある
  4. 未経験・経験が浅いヘルパーほど、現場で不安が一気に増える
    1. ① 教わった通りにやっているつもりでも、家では条件が違う
    2. ② 同行ではできたのに、一人だと怖い
    3. ③ どの程度支えればいいか分からない
    4. ④ “無理なら呼んで”と言われても、現場では判断が難しい
    5. ⑤ 介助に時間がかかることで焦る
  5. 不安なまま移乗介助に入ると、かえって危険が増える
    1. ① 身体が固くなり、動きが不自然になる
    2. ② 声かけが減り、タイミングが合わなくなる
    3. ③ 早く終わらせようとして、急いでしまう
    4. ④ 慎重になりすぎて、タイミングを逃す
    5. ⑤ 無理な力で支え、介助者自身が腰を痛める
  6. 移乗介助で本当に大切なのは、“何とか持ち上げること”ではない
    1. ① 無理に持ち上げない
    2. ② 利用者さんの残存能力を使う
    3. ③ 環境を整える
    4. ④ 声かけを合わせる
    5. ⑤ その日の状態を見る
    6. ⑥ 不安なら無理せず相談する
    7. ⑦ 介助者の腰を守る
  7. 移乗介助が怖い人ほど、自分を責めてしまう
  8. 移乗介助が怖い時のセルフ確認表
  9. 不安がある時、ヘルパーはこう動いていい
    1. ① 一人で不安なことを、事前に伝える
    2. ② 同行をお願いする
    3. ③ 利用者さんの状態変化を共有する
    4. ④ 福祉用具や環境の問題を確認する
    5. ⑤ 危険なら止める
    6. ⑥ ヒヤリとした場面は、その日のうちに報告する
  10. 同行や確認をお願いしたい時の伝え方
  11. 事業所・サ責は「慣れれば大丈夫」で送り出してはいけない
    1. ① 実際の利用者宅で同行確認をする
    2. ② 状態変化があれば、再評価する
    3. ③ 無理な身体介助を、ヘルパー個人に押し付けない
    4. ④ 福祉用具の導入や環境調整を検討する
    5. ⑤ 不安を言いやすい雰囲気を作る
  12. じゃあどうする?移乗介助が怖い時に覚えておきたい3つのこと
    1. ① 怖いと感じた時点で、確認していい
    2. ② “何とかやる”より、“安全にできる形に整える”
    3. ③ 相談・同行・用具調整は、逃げではなく事故予防
  13. まとめ|“怖い”を無視しない人こそ、信頼できる支援者

移乗介助でヘルパーが「怖い」と感じやすい場面

移乗介助と一言でいっても、場面や環境によって難しさは大きく変わります。

とくに訪問介護では、施設のように環境が整っているとは限りません。 ベッドの高さ、車椅子との距離、トイレの広さ、手すりの位置、床の滑りやすさなど、利用者宅ごとに条件がまったく違います。

① ベッドから車椅子へ移る時

ベッドと車椅子の高さが合っていない。 車椅子との角度が取りづらい。 距離が微妙に遠い。

こうした条件が重なるだけで、移乗介助の難易度は一気に上がります。

「この位置で本当に安全に移れるだろうか」 と迷いが出る場面です。

② 車椅子からトイレへ移る時

トイレは、移乗介助の中でも特に緊張しやすい場面です。

  • 空間が狭い
  • 段差がある
  • 手すりの位置が使いづらい
  • 身体の向きを変える必要がある

など、複数の難しさが重なります。

体の向きを変える途中でバランスを崩したらどうしよう。 立ち上がりから座るまで、安全に支えられるだろうか。 そんな不安が出やすい場面です。

③ 立ち上がりが不安定な方

移乗介助では、 “立てるかどうか”の判断が一番緊張する ことがあります。

普段は立てていても、その日の体調や疲れで足に力が入りにくいことがあります。 立ち上がった瞬間にふらついたり、思ったより体重がこちらにかかったりすると、一気に緊張が高まります。

④ 足に力が入りにくく、膝折れのリスクがある方

膝がガクッと落ちる可能性がある方の介助は、常に緊張を伴います。

こちらが支えているつもりでも、急に力が抜けた時に受け止めきれるか。 その一瞬の判断に、大きな不安を感じるヘルパーさんは多いです。

⑤ 体格差が大きい利用者さん

利用者さんの体格が大きく、介助者との体格差がある場合、

「自分の力で本当に支えきれるのか」

という不安が出やすくなります。

無理に支えようとして、かえって腰を痛める危険もあります。

⑥ 途中で急に動く方

「ちょっと待ってくださいね」と声をかけても、利用者さんが先に動き出してしまう。 立つタイミング、向きを変えるタイミング、座るタイミングが合わない。

こうした場面では、介助者の準備が整う前に動きが始まるため、怖さが一気に増します。

⑦ その日の体調で安定感が大きく違う方

昨日は問題なく立てた。 でも今日は、少しふらついている。 声の張りも弱く、動きも鈍い。

在宅では、“昨日できたから今日もできる”とは限りません。

同じ介助方法を繰り返せば安全というわけではないところに、移乗介助の怖さがあります。

「落としたらどうしよう」と思う時、心も身体も固まる

移乗介助が怖い時、ヘルパーの中ではさまざまな反応が起きています。

ただ不安に思っているだけではありません。 身体の使い方や声かけにまで、緊張が表れてしまうことがあります。

① 支える手に力が入りすぎる

「絶対に落とせない」 と思うほど、肩・腕・背中に力が入ります。

本来は利用者さんの動きに合わせて支える必要があるのに、緊張でこちらの身体が固くなり、自然な動きがしづらくなるのです。

② 手順を頭の中で何度も再生してしまう

ブレーキはかかっているか。 足の位置は大丈夫か。 車椅子の角度はこれでいいか。 手すりには届くか。

確認は大切です。 でも、不安が強すぎると、頭の中で確認が止まらず、介助に入る直前まで緊張が高まり続けます。

③ 失敗の場面ばかり想像してしまう

「もし倒れたら」 「もし膝が抜けたら」 「もし自分が支えきれなかったら」

まだ何も起きていないのに、事故の場面が先に浮かんでしまう。

それだけ、移乗介助は責任の重さを感じやすい支援です。

④ 利用者さんに不安が伝わりそうで焦る

ヘルパー自身が不安を感じていると、

「この不安が利用者さんにも伝わってしまうのでは」

と焦ることがあります。

落ち着いて見せようとするほど、表情や声がぎこちなくなり、さらに緊張してしまうこともあります。

⑤ 同行ではできたのに、一人になると急に怖くなる

同行訪問の時は、先輩やサ責が近くにいる安心感があります。

でも、一人で現場に入ると、

「もし判断を間違えたら、自分だけで対応しなければならない」

という重さが一気にのしかかります。

一人になった途端に怖くなるのは、珍しいことではありません。

移乗介助が怖いのは、“技術不足”だけではない

移乗介助が怖いと感じると、

「自分の技術が足りないからだ」
「もっと練習すれば怖くなくなるはず」

と考えてしまう人がいます。

もちろん、技術や経験は大切です。 でも、移乗介助の怖さは、それだけでは説明できません。

① 転倒・転落が、重大な事故につながる責任の重さ

料理や掃除の失敗とは違い、移乗介助では転倒・転落が利用者さんの怪我に直結します。

場合によっては、骨折や大きな事故につながることもあります。

だからこそ、 「絶対に怪我をさせたくない」という責任感が、怖さとして表れる のです。

② 利用者さんの身体を直接支える緊張

移乗介助では、利用者さんの体重や動きを、介助者が直接受け止める場面があります。

手の中に命があるような感覚。 一つの動きのずれが、転倒につながるかもしれないという緊張。

これは、現場で実際に支える人だからこそ分かる怖さです。

③ 一人訪問で、すぐ相談できる人がいない

訪問介護では、その場に他のスタッフがいないことも多くあります。

「ちょっと見てもらえますか」 「この方法で合っていますか」

と、その瞬間に確認できない不安はとても大きいです。

とくに経験が浅い時期は、 “判断の重さ”そのものが怖さになる ことがあります。

④ 家庭ごとに環境が違い、毎回同じ条件ではない

在宅では、

  • 部屋が狭い
  • 床が滑りやすい
  • 手すりが遠い
  • 家具が邪魔になる
  • トイレの入口に段差がある

など、介助のしやすさが家ごとに大きく異なります。

施設のように整った環境ではないからこそ、怖さが増します。

⑤ その日の体調で、安定感が変わる

利用者さんの体調は、毎日同じではありません。

痛みが強い日。 眠気が強い日。 血圧や疲れで、立ち上がりが不安定な日。

昨日できたから今日もできる、とは限らない。 だからこそ、その都度見極める必要があります。

⑥ 同じやり方が、毎回通用するとは限らない

前回はスムーズに移乗できた。 でも今日はタイミングが合わない。

在宅の支援は、きれいにパターン化できない部分があります。

移乗介助が怖いのは、毎回“今の状態で本当に安全か”を判断する必要があるからです。

⑦ 自分の腰を痛めるリスクもある

移乗介助で怖いのは、利用者さんを怪我させることだけではありません。

無理な姿勢や、力任せの介助は、ヘルパー自身の腰や身体を壊す原因にもなります。

あなたの身体が壊れたら、支援は続きません。 介助者自身を守ることも、安全な支援の一部です。

運営者
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同行で一度見たから大丈夫、とは限りません。実際の移乗介助は、その日の体調や家の環境で難しさが変わります。不安があるなら、確認し直していいんです。

未経験・経験が浅いヘルパーほど、現場で不安が一気に増える

研修や同行では理解できたつもりでも、実際に一人で訪問すると急に怖くなる。

これは、未経験者や経験が浅いヘルパーさんにとって、とても自然なことです。

① 教わった通りにやっているつもりでも、家では条件が違う

研修では広いスペースで練習できた。 でも実際の利用者宅は、家具が近く、足元も狭く、ベッドと車椅子の位置も調整しづらい。

教わった手順を思い出しても、同じように再現できないことがあります。

② 同行ではできたのに、一人だと怖い

先輩が横にいる時は安心できた。 でも、一人になると介助のすべてを自分で判断しなければならない。

この違いはとても大きいです。

“一人で入ると怖い”のは、能力がないからではなく、責任を一人で受け持つ重さが増すからです。

③ どの程度支えればいいか分からない

力を入れすぎると、利用者さんの動きを妨げる。 逆に支えが足りないと、ふらついた時に危ない。

どのくらい支えればいいのか。 どこまでご本人に力を出してもらうのか。

この感覚は、実際の経験を積みながら身についていく部分があります。

④ “無理なら呼んで”と言われても、現場では判断が難しい

「危なかったら連絡して」 と言われていても、実際の現場では、

「これはまだできる範囲なのか」
「もう止めるべき状態なのか」

の判断に迷います。

だからこそ、あらかじめ “どの状態なら止めて相談するか” を事業所と共有しておくことが大切です。

⑤ 介助に時間がかかることで焦る

慎重に進めたい。 でも時間がかかると焦る。

焦ると、確認が雑になったり、タイミングが早くなったりして、かえって危険が増します。

移乗介助は、急いで上手く見せるものではありません。 安全に行うことが何より優先です。

不安なまま移乗介助に入ると、かえって危険が増える

「怖いけれど、言い出しづらい」 「何とかやらなきゃ」

そう思って無理に移乗介助へ入ると、かえってリスクが高まることがあります。

① 身体が固くなり、動きが不自然になる

不安が強いと、肩や腕に力が入り、身体全体が硬くなります。

介助者の動きがぎこちなくなると、利用者さんも動きにくくなり、双方のタイミングが合わなくなります。

② 声かけが減り、タイミングが合わなくなる

緊張すると、確認や声かけが少なくなることがあります。

「立ちますね」 「一緒に前へ体重を移しましょう」 「今、座ります」

こうした声かけは、移乗介助の安全に欠かせません。

沈黙のまま介助が進むと、利用者さんと動きが合わず、危険が増します。

③ 早く終わらせようとして、急いでしまう

怖い場面ほど、早く終わらせたくなることがあります。

でも、 “早く終える”ことと、“安全に終える”ことは別です。

焦りは、確認漏れや体勢の崩れにつながります。

④ 慎重になりすぎて、タイミングを逃す

逆に、不安が強すぎると 「今でいいのか」 と迷いすぎて、立ち上がりや方向転換のタイミングを逃すことがあります。

移乗介助では、利用者さんの力が出る瞬間と介助者の支えが合うことが大切です。

⑤ 無理な力で支え、介助者自身が腰を痛める

怖いと、人は必要以上に力で何とかしようとします。

しかし、力任せの介助は、利用者さんにも介助者にも負担が大きくなります。

“危ないかも”と感じているのに、無理に続けることが一番危険です。

移乗介助で本当に大切なのは、“何とか持ち上げること”ではない

移乗介助が不安になると、 「自分がしっかり支えなければ」 「持ち上げられなければ」 と考えてしまうことがあります。

けれど、移乗介助の本質は、 介助者が力で何とかすることではありません。

① 無理に持ち上げない

利用者さんの体を力任せに持ち上げようとする介助は、事故にも腰痛にもつながります。

“持ち上げる”のではなく、 安全に動ける条件を整え、動きを支える ことが大切です。

② 利用者さんの残存能力を使う

利用者さんが出せる力を、できるだけ活かす。 手すりを握る、足を踏ん張る、体を前に倒す。

その力を引き出しながら支えることが、本来の介助です。

③ 環境を整える

車椅子の位置。 ベッドとの距離。 足元の安全。 ブレーキ。 手すりの位置。

移乗介助は、始める前の環境調整で安全性が大きく変わります。

④ 声かけを合わせる

「せーの」で動く。 「今、前に体重をかけます」 「ゆっくり座ります」

利用者さんと介助者のタイミングをそろえる声かけは、移乗介助の安全に欠かせません。

⑤ その日の状態を見る

昨日できたから今日も同じ、とは考えない。

立ち上がりの力、ふらつき、痛み、眠気、表情。 その日の状態を見て、いつもの方法で本当に安全かを確認する必要があります。

⑥ 不安なら無理せず相談する

これは、移乗介助で一番大切な視点かもしれません。

不安を感じた時に、 「でも予定だから」 「これくらいで相談しにくい」 と進めてしまうのではなく、 止める・確認する・相談する ことが必要です。

“止める勇気”も、安全な介助の一部です。

⑦ 介助者の腰を守る

自分の身体を守ることは、わがままではありません。

無理な姿勢や過剰な力を使う介助が続けば、ヘルパー自身が腰を痛め、働き続けることが難しくなります。

利用者さんの安全と同じように、介助者の安全も大切にしていいのです。

運営者
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移乗介助は、“力がある人が上手い”のではありません。環境を整え、利用者さんの力を引き出し、危ない時に止まれる人が安全な介助をできます。

移乗介助が怖い人ほど、自分を責めてしまう

移乗介助に不安があると、 ヘルパーはその怖さを、すぐに自分の未熟さと結びつけてしまいがちです。

浮かびやすい自己否定 本当はこう考えていい
移乗が怖いなんて、介護職に向いていない 怖さは、事故を起こしたくないという責任感の表れです
他の人はできているのに、自分だけ情けない 他の人も最初は怖かった。経験と確認で少しずつ育つものです
利用者さんを支える仕事なのに不安になる自分はダメ 雑に扱えないからこそ、不安になるのです
何度教わっても自信が持てない 自信は、実際の経験と安全確認の積み重ねでついていきます
怖がっていることを事業所に言いづらい 不安を言えない環境の方が、事故につながりやすく危険です

※スマホでは横にスクロールして確認できます。

移乗介助が怖いと感じることは、恥ずかしいことではありません。

利用者さんを落としたくない、怪我をさせたくないと思っているからこそ、慎重になるのです。

移乗介助が怖い時のセルフ確認表

不安を感じた時は、気合いで押し切るのではなく、 安全に進められる状態か を一つずつ確認してみてください。

確認したいこと 見るポイント
今日の立ち上がりはいつも通りか 昨日と比べて力の入り方や動きに違和感がないか
体調変化はないか 痛み、眠気、ふらつき、倦怠感などがないか
車椅子・ベッドの位置は整っているか 距離、角度、高さが介助しやすい位置になっているか
ブレーキは確実にかかっているか 車椅子が動かない状態か再確認する
足の位置・手すりの位置は適切か 本人が力を出しやすい位置になっているか
自分一人で安全にできる介助か 体格差、ふらつき、環境を含めて無理がないか
不安を感じているのに無理に進めようとしていないか “何とかやる”に入っていないか立ち止まる
迷ったら止めて相談できるか 相談先や連絡方法を確認し、必要ならその場で判断を止める

※スマホでは横にスクロールして確認できます。

ひとつでも強い不安があるなら、 “今のまま進めて本当に安全か”を見直していい のです。

不安がある時、ヘルパーはこう動いていい

移乗介助が怖い時に必要なのは、 怖さを隠して頑張ることではなく、安全にできる形を整えること です。

① 一人で不安なことを、事前に伝える

「この利用者さんの移乗介助に、まだ不安があります」 「一人で判断するのが怖いです」

と、事前に伝えて大丈夫です。

“怖い”は相談してよい情報です。

② 同行をお願いする

一度実際の場面を見てもらうだけで、分かることはたくさんあります。

  • 立ち位置
  • 声かけのタイミング
  • 車椅子の角度
  • 本人にどこまで力を出してもらうか

同行は甘えではありません。 事故を防ぐための確認です。

③ 利用者さんの状態変化を共有する

「昨日より立ち上がりが不安定でした」 「今日は足に力が入りにくそうでした」

こうした変化は、移乗介助の方法を見直す大切な情報です。

④ 福祉用具や環境の問題を確認する

手すりの位置。 ベッドの高さ。 車椅子の配置。 床の滑りやすさ。

環境が変わるだけで、介助の安全性は大きく変わります。

⑤ 危険なら止める

これが本当に大切です。

「予定だから」 「ここまで来たから」

と無理に続けるのではなく、 危険を感じた時点で止める 判断を持ってください。

⑥ ヒヤリとした場面は、その日のうちに報告する

大きな事故にならなかったから終わり、ではありません。

ヒヤリとした場面は、次の事故を防ぐための重要な情報です。

ヒヤリは、事故の予告です。

同行や確認をお願いしたい時の伝え方

「不安があります」と言うだけでも十分ですが、何が怖いのかを具体的に伝えると、事業所も対応しやすくなります。

状況 伝え方の例
一人介助にまだ不安がある 移乗のタイミングにまだ不安があるので、もう一度同行をお願いしたいです。
状態変化を感じた 昨日より立ち上がりが不安定に感じました。今の介助方法でよいか確認したいです。
環境的に危ないと感じる ベッドと車椅子の位置が取りづらく、一人介助を続けて大丈夫か見てもらえますか。
判断に迷う場面があった 今日は途中でふらつきがあり、どの段階で止めるべきか迷いました。次回に向けて確認したいです。
ヒヤリがあった 転倒には至りませんでしたが、膝折れしそうな場面がありました。対応を一緒に整理したいです。

※スマホでは横にスクロールして確認できます。

不安を言葉にすることは、迷惑ではありません。事故を防ぐための大切な共有です。

事業所・サ責は「慣れれば大丈夫」で送り出してはいけない

移乗介助に不安のあるヘルパーに対して、

「何回か入れば慣れるよ」
「前にも見たから大丈夫でしょ」

と送り出すのは、危険です。

① 実際の利用者宅で同行確認をする

移乗介助は、利用者さんの身体状況と住環境が強く影響します。

口頭や事務所内の説明だけでは分からないことが多いため、必要に応じて実際の利用者宅で同行確認を行うべきです。

② 状態変化があれば、再評価する

以前は一人介助で問題なかったとしても、体調やADLが変われば話は別です。

“昨日までできていた”は、“今日も安全”の保証にはなりません。

③ 無理な身体介助を、ヘルパー個人に押し付けない

体格差が大きい。 環境が悪い。 本人の状態が不安定。

そうした条件があるのに、 「何とか対応して」 と個人に押し付けるのは、事故のリスクを現場へ丸投げしているのと同じです。

④ 福祉用具の導入や環境調整を検討する

手すり、ベッドの高さ、車椅子の配置、移乗方法の見直しなど、環境側を変えることで安全性が高まることがあります。

ヘルパーの技術だけで何とかしようとせず、 用具や環境で安全を作る視点 が必要です。

⑤ 不安を言いやすい雰囲気を作る

「怖いと言ったら頼りないと思われる」 「何度も聞くと迷惑かもしれない」

そう感じさせる職場では、危険が見えにくくなります。

不安を言える職場の方が、事故を防げます。

じゃあどうする?移乗介助が怖い時に覚えておきたい3つのこと

① 怖いと感じた時点で、確認していい

「自分が気にしすぎているだけかも」 と流さないでください。

怖いと感じるのは、そこに確認すべき何かがあるサインかもしれません。

その日の利用者さんの状態、環境、自分一人で安全にできるかを、改めて確認していいのです。

② “何とかやる”より、“安全にできる形に整える”

訪問介護では、現場で何とかしようと頑張ってしまう人がいます。

でも移乗介助において大切なのは、 無理に実施することではなく、 安全に実施できる条件を整えること です。

同行、環境調整、福祉用具、介助方法の再確認。 必要な手段を使って、安全を作っていいのです。

③ 相談・同行・用具調整は、逃げではなく事故予防

「もう一度見てほしい」 「今の方法で合っているか確認したい」 「この環境では危ない気がする」

そう伝えることは、弱さではありません。

事故を起こしてからでは遅いからこそ、前もって相談することが大切です。

運営者
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移乗介助が怖いと思うあなたは、利用者さんを雑に扱えない人です。怖さを隠して無理をするより、確認して、相談して、安全に支えようとする方がずっと信頼できます。

まとめ|“怖い”を無視しない人こそ、信頼できる支援者

移乗介助が怖いと思うのは、あなたが弱いからではありません。

利用者さんを落としたくない。
怪我をさせたくない。
安心して支えたい。

そう思っているからこそ、怖くなるのです。

“怖い”は逃げではなく、安全を守るための大切な感覚です。

その不安を隠して無理に介助へ入るのではなく、 状態を確認し、環境を見直し、必要なら同行や相談をお願いしていい。

移乗介助は、気合いや腕力で乗り切るものではありません。 利用者さんの力を活かし、環境を整え、危ない時には止まれることが大切です。

そして、 その感覚を無視しない人こそ、本当に信頼できる支援者だと思います。

怖さを責めず、安全のための判断として大切にしてください。


この記事を書いた人

訪問介護のリアル 運営者

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介護・福祉現場での経験をもとに、訪問介護を中心とした在宅支援のしんどさ、働き方、事業所選び、転職判断について発信しています。きれいごとだけではなく、現場で本当に起きていることを大切にしています。

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