現場のリアル

訪問介護で利用者宅のペットが気になる時|犬・猫がいる家で支援する時の現場判断

訪問介護で利用者宅のペットが気になる場面を表した、犬と猫がいる家で支援に入るヘルパーのアイキャッチ画像

訪問介護の仕事をしていると、利用者さん宅に犬や猫などのペットがいる場面があります。

ペットがいること自体は、悪いことではありません。

利用者さんにとって、ペットは家族同然の存在です。
一人暮らしの支えになっていることもあります。
精神的な安定につながっていたり、生活リズムを保つきっかけになっていたりすることもあります。

ただ、実際の現場では、ペットがいることで支援しづらさを感じることがあります。

玄関で犬が激しく吠える。
飛びついてくる。
移乗介助中に足元をウロウロする。
猫が調理中に台所へ来る。
服や訪問バッグ、記録物に毛がつく。
ペット臭や排泄物が気になる。
アレルギー症状が出る。

それでもヘルパーは、なかなか「ペットが苦手です」「怖いです」とは言い出せません。

「利用者さんが大切にしているから言いづらい」
「動物が苦手と言うと冷たい人に見えそう」
「うちの子は大丈夫と言われると返しにくい」
「他のヘルパーは平気なのかもしれない」
「アレルギーや怖さを大げさと思われそう」

そんなふうに考えて、支援中の怖さやしんどさを一人で抱えてしまうことがあります。

こんなふうに感じていませんか?

  • 利用者さん宅の犬が吠えて入室しづらい
  • 飛びつきや噛みつきが怖い
  • 身体介護中にペットが足元へ来て危ない
  • 猫が調理中に台所へ来て気になる
  • 毛やにおい、アレルギー症状がつらい
  • ペットが苦手と言うと、利用者さんに悪い気がする

ペットがいる家で支援しづらいと感じることは、冷たいことではありません。

ペットは利用者さんにとって大切な存在です。
一方で、ヘルパーの安全、体調、支援のしやすさも守る必要があります。

ペットを悪者にせず、ヘルパーも我慢だけで終わらせない。
安全と衛生の問題として、記録・相談・環境調整につなげることが大切です。

この記事では、訪問介護で利用者さん宅のペットが気になる時に考えたいこと、我慢で済ませてはいけない場面、利用者さんへの声かけ、記録や事業所対応について、現場目線で整理します。

運営者
運営者

動物が苦手だからといって、介護職に向いていないわけではありません。大切なのは、ペットを責めることではなく、安全に支援できる環境を一緒に考えることです。

ペットは生活の一部。でも、支援に影響することもある

利用者さん宅にいる犬や猫は、その家の生活の一部です。

家族同然に大切にされていることも多く、本人にとっては心の支えになっている場合もあります。 一人暮らしの利用者さんにとっては、ペットがいることで寂しさが和らいだり、毎日の生活リズムが保たれたりすることもあります。

だから、ペットがいること自体を問題にする必要はありません。

ただし、訪問介護は支援の場でもあります。

掃除、調理、洗濯、更衣、移乗、排泄介助、服薬確認、記録など、限られた時間の中で必要な支援を行います。 その支援中にペットが近くに来たり、吠え続けたり、足元をウロウロしたりすると、支援に影響が出ることがあります。

特に犬の場合、玄関で激しく吠えられると入室の時点で緊張します。 小型犬でも、急に飛びついてきたり、噛みそうな様子があったりすると怖さを感じます。

猫の場合も、調理中に台所へ来る、記録を書いている時に近づいてくる、服やバッグに毛がつくなど、支援中に気になる場面があります。

また、毛やにおい、アレルギー症状の問題もあります。 くしゃみ、目のかゆみ、咳、皮膚のかゆみなどが出る職員もいます。

ペットが大切な存在であることと、支援中の安全や衛生を考えることは、対立する話ではありません。

利用者さんの生活を尊重しながら、ヘルパーが安全に支援できる環境をどう整えるか。 そこを考えていくことが大切です。

特に注意したいのは、身体介護中の足元と調理中の台所

ペットがいる家で特に注意したいのは、身体介護中と調理中です。

中でも危険なのは、移乗介助中に犬や猫が足元へ来る場面です。

ベッドから車いすへ移る。
椅子から立ち上がる。
トイレへ移動する。
更衣のために立位を取る。

こうした場面では、利用者さんの身体を支えながら、転倒しないように細心の注意を払います。 その足元にペットが来ると、ヘルパーも利用者さんもバランスを崩す危険があります。

「かわいいから大丈夫」では済まない場面です。

排泄介助中に近づいてくる場合も、集中しづらくなります。 衛生面の心配もありますし、ヘルパーが落ち着いて介助しづらくなることもあります。

調理中も注意が必要です。

火を使っている時に猫が台所へ来る。
包丁を使っている時に足元へ犬が来る。
食材の近くにペットが近づく。
ペットの毛が気になる。

こうした場面では、においや毛の問題だけでなく、火や刃物の安全も関係します。

場面 支援に起こりやすい影響
玄関で犬が激しく吠える 入室時から緊張し、支援前に気持ちが乱れやすい
移乗介助中に足元へ来る 転倒や介助ミスにつながる可能性がある
調理中に台所へ来る 火、刃物、衛生面の不安が出やすい
毛やにおいが強い 服やバッグに付着し、アレルギーや不快感につながることがある
記録中に近づいてくる 記録物やバッグへの接触、噛みつき不安が出ることがある

※スマホでは横にスクロールして確認できます。

特に、噛みつき、転倒、衛生面の問題は、ヘルパー個人の我慢で済ませない方がよいです。

「怖いけど言えない」
「足元に来るけど、利用者さんが大切にしているから言いづらい」
「猫が台所に来るけど、細かいことを言っているようで言えない」

そう感じることもあるかもしれません。

しかし、支援中の安全に関わる場合は、遠慮だけで終わらせないことが大切です。

ペットが悪いのではなく、支援中に危険が起きやすい状況をどう整えるかが大切です。

ヘルパーが「ペットが苦手」と言いづらい理由

ペットがいる家で支援しづらいと感じても、ヘルパーはなかなか言い出せません。

一番大きいのは、利用者さんがペットを大切にしているからです。

「この子がいるから安心する」
「家族みたいな存在」
「うちの子は大丈夫」
「噛まないから平気」

そう言われると、ヘルパーは「怖いです」「苦手です」と返しにくくなります。

動物が苦手と言うと、冷たい人に見えそうだと感じることもあります。

他のヘルパーは平気なのかもしれない。
自分だけが気にしているのかもしれない。
アレルギーを大げさだと思われるかもしれない。
苦手と言ったら担当を外されるかもしれない。

そう考えて、何も言えなくなることがあります。

新人ヘルパーや登録ヘルパーは、さらに言いづらい立場にあります。

「この程度で相談していいのかな」
「動物が苦手な自分が悪いのかな」
「利用者さんに嫌われたらどうしよう」

そんな不安から、一人で我慢してしまうことがあります。

しかし、恐怖感やアレルギー症状、身体介護中の危険があるなら、それは一人で抱える必要はありません。

ペットが苦手と感じることは、ヘルパーとして失格という意味ではありません。

大切なのは、ペットを否定することではなく、支援にどのような影響が出ているのかを事実として共有することです。

運営者
運営者

利用者さんにとって大切なペットだからこそ、言いづらい場面があります。でも、怖さやアレルギー、身体介護中の危険は、我慢だけで済ませない方がいいです。

まずは「苦手」ではなく「安全面」として伝える

ペットがいる家で支援しづらい時、ヘルパー本人がまずできることは、感情的に伝えないことです。

「怖いです」
「犬をどこかにやってください」
「猫が邪魔です」

こうした言い方をしてしまうと、利用者さんはペットを否定されたように感じるかもしれません。

現場では、「苦手だから」よりも、「安全のため」「衛生面のため」という形で伝える方が自然です。

声かけの例

  • 移乗の時だけ、足元に来ないようにお願いできますか。安全のためです。
  • 調理中は火を使うので、台所に入らないようにしていただけると助かります。
  • 支援中だけ、少し離れていてもらえると安心して介助できます。
  • ワンちゃんが苦手というより、安全面で距離を取らせてくださいね。
  • アレルギーの職員もいるため、事業所から一度確認させてください。

ポイントは、ペットを責めないことです。

「危ないからどけてください」ではなく、「安全に介助したいので、移乗の時だけ距離を取らせてください」と伝える。

「台所に来ないでください」ではなく、「火を使うので、調理中だけ入らないようにしていただけると助かります」と伝える。

このように、支援中だけ協力してもらう形にすると、利用者さんも受け止めやすくなります。

ただし、ヘルパーが一人で全部判断する必要はありません。

アレルギー症状が出ている。
噛まれそうで怖い。
移乗介助中に足元へ来て危ない。
伝えても改善がない。

こうした場合は、サ責や管理者に相談しましょう。

ペット対応を、ヘルパー個人の我慢や気合いだけにしないことが大切です。

やらない方がいい対応

ペットが怖い時や支援しづらい時、我慢しすぎる必要はありません。

ただし、ヘルパーが一人で強く対応しすぎると、別のトラブルにつながることがあります。

まず避けたいのは、ペットに強く怒ることです。

利用者さんの前でペットに強く言うと、利用者さんは自分の大切な存在を否定されたように感じるかもしれません。

また、勝手に別室へ入れることも避けた方がよいです。

その家では、ペットを自由にしている理由があるかもしれません。 別室に入れると鳴き続けたり、不安定になったりすることもあります。 利用者さんに確認せずに対応すると、関係がこじれることがあります。

勝手に触る、抱っこする、おやつをあげることも避けましょう。

動物好きなヘルパーであっても、利用者さんのペットに勝手に関わるのはトラブルのもとになります。 噛まれたり、アレルギーが出たり、食事制限や体調管理の問題につながったりする可能性もあります。

一方で、記録せずに愚痴だけで終わることも避けたいところです。

「今日も吠えられて怖かった」
「毛がすごくて嫌だった」
「もう入りたくない」

そう感じること自体は自然です。

ただ、愚痴だけで終わってしまうと、次の支援は変わりません。

どの場面で困ったのか。
支援にどんな影響があったのか。
利用者さんに何を伝えたのか。
次回どんな配慮が必要なのか。

そこまで整理して、事業所に共有することが大切です。

ペットがいる家を一方的に避けるのではなく、支援を安全に続けるための情報に変えていきましょう。

記録に残して、事業所につなげる

ペットがいることで支援に影響が出ている場合は、記録に残して事業所へ共有します。

記録に残す時は、ペットや利用者さんを責める言い方ではなく、支援中に起きたことを事実として書きます。

記録に残したい内容

  • ペットの種類
  • 支援中の様子
  • 吠える、飛びつく、足元に来るなどの状況
  • 支援に影響があったか
  • 利用者さんに伝えた内容
  • 利用者さんの反応
  • ヘルパーの体調変化
  • アレルギー症状の有無
  • 次回以降の注意点
  • サ責に報告したこと

たとえば、次のような書き方です。

「移乗介助中、犬が足元に近づく場面あり。転倒リスクがあるため、本人へ移乗時のみ犬を離していただけるか確認。本人より『分かった』との返答あり。次回以降も移乗前に声かけを行う。」

また、アレルギー症状がある場合は、体調の変化も残します。

「訪問中、猫の毛が多く、支援後に目のかゆみとくしゃみあり。サ責へ報告。次回以降の担当調整を含めて確認予定。」

このように書くと、感情ではなく状況が伝わります。

記録は、ペットや利用者さんを責めるためのものではありません。

記録は、次に安全に支援へ入るための準備です。

同じ場面が繰り返されているのか。
身体介護に影響しているのか。
衛生面の配慮が必要なのか。
アレルギーのある職員を配置してよいのか。
事業所から利用者さんへ説明が必要なのか。

そうした判断につなげるためにも、記録と報告は大切です。

あわせて確認: 記録の残し方に迷う時は、障害福祉の記録の書き方|小さな違和感を残すことが支援を守る理由でも詳しく整理しています。

事業所として対応することも必要

ペットがいる家での支援は、ヘルパー個人だけに任せないことが大切です。

もちろん、ヘルパー本人ができる配慮もあります。 無理に触らない。 勝手に抱かない。 支援中だけ距離を取ってもらう。 安全面として穏やかに声をかける。

ただし、噛みつきや転倒リスク、アレルギー症状、衛生面の不安がある場合は、事業所として状況を把握する必要があります。

特に、次のような場合は事業所案件として考えたいところです。

噛まれそう、または実際に噛まれた。
飛びつきで転倒リスクがある。
移乗介助や身体介護中に足元へ来る。
アレルギー症状が出ている。
排泄物や衛生面に不安がある。
調理中にペットが台所へ来る。
支援時間に影響している。
利用者さんに伝えても改善がない。

このような場面では、ヘルパーが一人で我慢し続けるのではなく、サ責や管理者が間に入る必要があります。

事業所から利用者さんへ、支援中だけ距離を取ってもらうことを相談する。 身体介護や移乗介助の時だけ別の場所にいてもらえないか確認する。 アレルギーのある職員を避けるなど、担当調整を考える。 支援手順書や申し送りに注意点を残す。

こうした対応が、結果的に本人、ペット、ヘルパーの全員を守ることにつながります。

事業所側から見ると
ペットの問題をヘルパー個人の我慢にしてしまうと、怖さやアレルギーを抱えたまま支援に入ることになります。 利用者さんの生活を尊重しながら、安全に支援できる環境を事業所として整えることが大切です。

ペットが悪いわけではありません。

でも、支援中に危険や体調変化があるなら、それは現場の情報として共有すべきことです。

まとめ|ペットがいる家で支援しづらい時は、安全と衛生の問題として考える

訪問介護で利用者さん宅のペットが気になる時、まず大切なのは、ペットを悪者にしないことです。

ペットは、利用者さんにとって大切な存在です。
家族同然であり、精神的な支えになっていることもあります。
生活リズムや安心感につながっている場合もあります。

その一方で、ヘルパーが支援しづらいと感じることも、冷たいことではありません。

犬が吠える。
飛びつく。
移乗介助中に足元へ来る。
猫が調理中に台所へ来る。
毛やにおいが気になる。
アレルギー症状が出る。

こうした場面は、支援の安全や衛生、ヘルパーの体調にも関わります。

大切なのは、感情的に「苦手」とぶつけることではありません。

安全のために距離を取ってもらう。
調理中だけ台所に入らないようにしてもらう。
移乗介助の時だけ足元に来ないようにしてもらう。
アレルギーや恐怖感がある場合は事業所に相談する。
支援中に起きたことを記録に残す。

このように、支援を続けるための情報として整理していきましょう。

ペットも大切。
利用者さんの生活も大切。
ヘルパーの安全と体調も大切です。

ペットがいる家で支援しづらいと感じても、一人で抱え込まなくて大丈夫です。安全と衛生の問題として記録し、相談し、本人・ペット・ヘルパーが安心できる形を一緒に整えていきましょう。


この記事を書いた人

訪問介護のリアル 運営者

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  • 訪問系支援
  • 事業所運営目線

介護・福祉現場での経験をもとに、訪問介護を中心とした在宅支援のしんどさ、働き方、事業所選び、転職判断について発信しています。きれいごとだけではなく、現場で本当に起きていることを大切にしています。

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