「少しだけだから」と頼まれると、断りづらいですよね。相手が困っているのも分かる。だからこそ、一人で引き受けるか断るかを決める前に、確かめたいことがあります。

この記事で確かめたいこと
- 頼まれた理由を聞き、現在の計画・支援範囲を確認する。
- 対応を約束する前に、迷う点を事業所へ相談する。
- 次に訪問する人も困らないよう、返答と確認事項を残す。
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「少しだけ」でも、その場で決めにくいことがある
掃除中に、別の場所も頼まれる。帰る直前に、もう一つ用事が増える。「今、頼める人がいるから」と思うのは自然ですし、ヘルパーも困っている人を前にすると迷います。
ただ、時間が余っているかどうかだけでは、対応してよいかは決まりません。 本人への支援なのか、計画の内容はどうなっているのか、本来の支援に影響しないかも確かめたいところです。
この記事は、介護保険の訪問介護で、予定していなかった家事などを頼まれた場面を扱います。転倒や急な体調変化などの緊急時は別です。目の前の安全確保と必要な連絡を優先してください。
頼まれたら、この順番で確かめてみる
最初に聞きたいのは、「何を、どうして頼みたいのか」です。たとえば、いつもと違う場所の掃除を頼まれた背景に、物が倒れて通れない、汚れが広がって歩きにくいなどの事情があるかもしれません。予定外だからと、理由を聞く前に一律で断らないようにしたいですね。
そのうえで、現在の支援内容と照らして対応が明らかなものか、事業所への確認が必要なものかを分けます。迷うときは、引き受ける約束を先にせず、何が分からないのかを相談します。
「確認しますね」のあとに、何を確認するかも伝える
確認するとだけ言って、その後の話がないと、相手は待ち続けることになります。今日その場で返事ができるのか、事業所からの連絡になるのか。分かる範囲で次の動きも伝えると、行き違いを減らせます。
ついでに、こっちの棚も片づけてもらえる?
この棚が気になっているんですね。今日は予定していた掃除があるので、追加でどこまでできるか事業所に確認します。片づけたい場所も伝えておきますね。
希望を受け止める → 今日の予定を伝える → 確認することを明らかにする。
これは話し方の一例で、どんな場面でもこの通りに言えば解決するわけではありません。相手に伝わる長さや言葉で、必要な部分を使ってください。
家族分の家事は、本人への支援と分けて確認する
介護保険の生活援助は、本人の日常生活を支えるためのものです。家族のためだけの調理や洗濯など、本人への援助に当たらないものは対象になりません。厚生労働省の案内でも、生活援助に含まれない行為が示されています。
一方で、「同居家族がいるから、本人の生活援助も全部使えない」と決めつけるのは別の話です。 家族がいることだけで一律に判断せず、本人や家族の状況を踏まえる必要があります。この点は厚生労働省の介護サービス関係Q&Aにも示されています。
洗濯物が混ざっていて誰のものか分からない、本人用と家族用をどう分けるか迷う。そうした場面は、決めつけずに事実を伝え、事業所で支援内容を確かめてもらいましょう。
「前の人はやってくれた」と言われたとき
言われると、ちょっと焦りますよね。でも、その場で前のヘルパーを否定したり、同じようにやると約束したりする必要はありません。前回だけ事情があったのか、説明に行き違いがあったのか、確認していないこともあるはずです。
「前回のことも含めて、確認しますね」
「前には対応があったんですね。今日の支援内容と違うところがあるので、事業所に確認します。今後のことも、説明してもらえるよう伝えますね」
説明用の例です。事業所に確認後、誰が本人へ返答するかまで共有します。対応が人によって違うと、利用者さんも困ります。個人同士の問題にせず、事業所から支援範囲を説明し、必要なら計画の見直しについて担当者と相談する流れにつなげましょう。
記録は「頼まれた内容」と「返した言葉」を残す
予定外の片づけを頼まれた場合
- 本人の希望
- 居室の掃除中、棚の上の片づけも希望された。
- 確認が必要な点
- 今日の支援計画には含まれておらず、物を移動・処分する範囲も不明。
- 本日の対応
- 追加対応の可否を事業所に確認すると説明。棚の片づけには着手せず、予定の掃除を実施。
- 次回までの確認
- 本人の希望を誰が聞くか、対応範囲、本人への返答方法。
「わがままを言われた」より、「どこを片づけたいと言われたか」のほうが、次の人は動きやすいです。本人の言葉と、自分の判断や感想を分けて残しておくと、あとから確認もしやすくなります。
「できる人がやる」で回すと、次の人が困る
僕が引っかかるのは、ヘルパーの優しさを前提にした依頼が続くことです。「できるからお願い」だったものが、いつの間にか「やってくれるでしょ?」になる。支援時間を大きく超えることまで「ついで」と言われると、ついでじゃない、追加の支援だよと思います。
ただ、利用者さんや家族が、最初からヘルパーを困らせようとしているとは限りません。前に対応してもらえたことが、その家では当たり前になっている場合もあります。だから、現場の一人に「次から断って」と伝えるだけでは、話が収まりません。
誰が対応しても同じ説明ができるようにすることと、今の依頼で支えられている生活をどうつなぐか。事業所として、その両方を考えたいです。 急にやめたら暮らしが崩れるかもしれない。その心配があるから動けないこともあります。でも、動けない事情を説明しただけで、ヘルパーの負担が消えるわけではありません。
たとえば事業所で話し合うなら、「今後の支援内容を決める人」と「決まるまでの次の訪問を支える人」を分けて確認しておきたいところです。追加の希望を本人や家族に聞くのは誰か。ヘルパーから相談が来たら誰が返事をするか。同じ人だけに説明や我慢を任せていないか。これは僕からの提案で、一つの現場で全部解決したという体験談ではありません。
本人の希望を大切にすることと、ヘルパーが何でも引き受けることは同じではありません。優しさが負担として積み上がる前に、事業所の仕事として引き取る。僕は、そこまで含めて支える側の役割だと思っています。
頼みたいことがある利用者さん・ご家族へ
お願いすること自体を、遠慮しすぎなくて大丈夫です。今の支援では困りごとが残る、生活が変わって前と同じでは合わない。そうした希望は、支援を見直すときの大切な情報になります。
ただ、その場のヘルパーがすぐに決められないこともあります。「今後、この部分も相談したい」と事業所や担当者へ伝え、何を頼めるか、ほかにどんな方法があるかを一緒に確かめてください。相談前のメモも使えます。
参考資料
資料確認:2026年10月9日。会話例と記録例は、はるからの提案です。実際の提供内容は、制度上の範囲と本人の状況、計画に沿って事業所・担当者に確認してください。
